01 イノシシ肉の官能検査について
おおち山くじらでは、一年を通して、毎年数百頭の野生猪をイノシシ肉へと食肉処理しています。捕獲する季節によってイノシシ肉、特に脂の厚みが変わることはよく知られていますが、そもそも野生の猪は多様な個性を持っています。好きな餌は猪によって違い、季節や、毎年変わる山の実りに合わせて、それぞれの猪が好きな餌を選択し食べているようです。食べる餌が違えば、その肉の味も、猪と同じく多種多様な個性を持ちます。一般に秋に捕獲したメスのイノシシ肉が最上級と言われますが、同じ時期のオスのイノシシの甘い土の香りがする脂も美味しいですし、夏に捕獲した赤身のイノシシ肉にも歯切れのよい肉本来の旨みがあります。
(ぜひ、人気の食べ比べセットで味わってみてください。)
おおち山くじら ー天然イノシシー
どんなイノシシにも、それぞれ美味しいポイントがあるのですが、毎年、1,2頭は理由がよく分からないけれども、どうしても美味しくないと感じることがあります。発情期のオスのように、見た目や匂いで判断できればよいのですが、食べてみるまで分からないこともあります。そこで、おおち山くじらでは食肉の処理ラインで官能検査を取り入れ、解体処理の担当者が、処理場内で加熱し検食を行っています。処理ラインで官能検査を取り入れた食肉処理場の事例は聞いたことはありませんが、機械検査ではどうしても判断がつかないため、今後も官能検査を続けていく必要があると考えています。
検査結果(おおち山くじら処理台帳)
結果は貴重なデータとなるため、イノシシ処理台帳(データベース)に保存しています。
おおち山くじら処理台帳より(2019年度版)
02
食肉処理場の
道具について
おおち山くじらで使用している食肉処理用の道具類ですが、お客様やハンターの皆様、同業他社様から多くのご質問をいただきます。より衛生的な解体処理や、効率化を目指して、様々な工夫をして取り入れている道具類ですが、こちらのページでまとめてご紹介いたします。皆様の参考になれば幸いです。
(徐々に拡充していきます。)
刃物(ナイフ)
おおち山くじらでは解体作業に合わせて4種類のナイフを使い分けています。
骨スキナイフ
内臓摘出と剥皮で使用しているナイフです。誤って腸を破らないように、刃の先端はちょっと工夫をしています。
スキニングナイフ
剥皮で使用しているナイフです。 丸みを帯びたイノシシの体に、湾曲した刃をうまく沿わせることで、肉に脂身を残したまま皮をはぐことができます。
脱骨ナイフ
脱骨で使用しているナイフです。尖った刃の先端を骨と肉の間に刺し入れ、骨に沿って断ち切ることで、骨に肉が残さずに骨をはずすことができます。
筋引きナイフ
大きな塊の肉を切り分けたり、肉の形を整えるのに使用するナイフです。長い刃渡りを使って、引き切ることで切断面をきれいに仕上げることができます。
のこぎり
解体中、骨を切断する作業では、のこぎりを2種類使用しています。
電動背割のこぎり
剥皮後に、枝肉を半身に分割するために使用します。人力でイノシシの背骨をまっすぐに切るのは非常に危険です。電動のこぎりを使うことで、尻尾から首の付け根までの背骨をスムーズに縦にカットします。
胸骨のこぎり
内臓摘出の際に、胸骨を前正中線(中心線)に沿って切るために使用します。先端部にバンパーがついていて、挿入すると抜けにくく、内臓を傷つけることなく切断できます。